西村康稔経済再生担当相は30日の記者会見で、大型連休に合わせた帰省や旅行について、「それぞれの人が防止策を徹底しても(新型コロナウイルスの)感染が広がっている。この現状を認識し、ぜひ考え直してもらいたい」と述べ、予定がある場合でも再検討するよう呼び掛けた。
西村氏は、感染力の強い変異ウイルスの感染拡大が「急激だ」と指摘。「今は人の移動、接触を抑えないと感染拡大も抑えられない」と強調した。緊急事態宣言発令中の4都府県との往来自粛も重ねて求めた。
政府や自治体が再考を呼びかけることにおいては理解できる。だが、旅行者に対してはキャンセル料、宿泊施設・旅行会社・交通機関に対してはキャンセルによって失われる売上の補償とセットで行わない限りは、呼びかけに応じる人は限られてしまう可能性が高い。
宿泊事業者・旅行会社が仮にGW中に売上がなく補償もなければ、経営面で耐えられなくなる(特に東京、大阪、京都などでは感染者拡大で既に厳しい状況になっている)。同様に納入業者や関係先にも影響が出る。
年末年始のようにGo Toトラベルを実施している最中で、感染者拡大によって「キャンセル料無料」「キャンセル料相当の補償」をした際にはキャンセルが目立ったが、今回は宿泊施設におけるキャンセル料が通常運用になっている以上、補償を提示できれば一定数が取りやめる流れにもなるだろうが、補償がなければ特に旅行においては再考する人は少ないだろう。
その前に、西村再生相「急なお願い本当に申し訳なく思う」…休業要請の通知ずれ込みを陳謝
西村経済再生相は25日の記者会見で、同日から始まった新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を巡り、休業要請の対象となる関係団体への詳細な通知が24日未明にずれ込んだことについて、「急なお願いを事業者にしたことは、本当に申し訳なく思う」と陳謝した。
スポーツイベントを無観客で行うことを求めたことに関しては、「特に大人数のイベントは、無観客と知らずに訪れた人とのトラブルも考えられる。個別に相談しながら一部の例外も認めた。今後、改善すべき点は改善したい」と釈明した。
一方、新型コロナの専門家でつくる基本的対処方針分科会の尾身茂会長は25日、NHKの番組で今回の幅広い休業要請について、「商業施設が開いていれば、どうしても人間は(外に)出たくなる。(商業施設が感染拡大の原因となっている)エビデンス(根拠)はないが、魅力ある所を閉めることが必要だ」と語った。