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海底に眠るナチス暗号機「エニグマ」は無敵、ダイバーらが発見enigma

 ドイツ沖のバルト海(Baltic Sea)で先月、海底で70年以上にわたり眠っていたナチス・ドイツ(Nazi)の暗号機「エニグマ(Enigma)」が見つかった。発見したダイバーらは4日、この暗号機を修復作業のため博物館に引き渡した。



ダイバーらは、世界自然保護基金(WWF)からの依頼でドイツ北東部ゲルティング(Gelting)湾に潜り、廃棄された漁網を探していた際に暗号機を発見した。


ダイバーのフロリアン・フーバー(Florian Huber)さんはDPN通信に対し「仲間の一人が上がってきて、『古いタイプライターが入っている漁網がある』と言った」と説明。ダイバーらはすぐに歴史的遺物を発見したことに気づき、当局に知らせた。



シュレスウィヒ・ホルシュタイン(Schleswig-Holstein)州の考古学局を率いるウルフ・イッケロット(Ulf Ickerodt)氏によると、暗号機は同州にある考古学博物館で今後1年ほどかけて修復された後、展示される予定。


ドイツ海軍協会(German Naval Association)の歴史家、ヤン・ウィット(Jann Witt)氏はDPA通信に対し、暗号機はが第2次世界大戦(World War II)末期、ドイツの軍艦から海中に投棄されたものとの見方を示した。暗号機には3つのローターがあり、ナチスの潜水艦Uボート(U-boat)はより複雑な4ローター式のエニグマを使用していたため、沈没した潜水艦で使用されていた可能性は低いという。



エニグマの暗号は1941年、現代のコンピューターの父とされる英数学者アラン・チューリング(Alan Turing)が率いるチームが解読に成功。連合軍はこれにより、ドイツ軍の動きに関する重要な無線通信を解読することが可能となった。歴史家らはエニグマの暗号解読により、終戦が2年ほど早められたと考えている。


暗号解読の経緯は2014年、『イミテーション・ゲーム(The Imitation Game)』として映画化され、チューリングを演じた英俳優ベネディクト・カンバーバッチ(Benedict Cumberbatch)さんは米アカデミー賞(Academy Awards)主演男優賞にノミネートされた。


「エニグマ」は登場してしばらくは無敵の暗号強度を誇ったけれど、この機械の仕組みを見破られるあっという間に「攻略」されてしまったとか。日本海軍の暗号も同じ。やはり暗号強度を維持するには日本陸軍がそうだった様に作戦毎に暗号表を使い捨てにする等の対策が必須だったんでしょう。

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エチオピア内戦、WHO事務局長、今度は「エチオピア反乱軍支援」

 新型コロナウイルス感染症への対応過程で米国などから「中国寄り」という批判を受けてきた世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長に、今度はエチオピア反乱軍を支援したという疑惑が浮上した。



20日(現地時間)のワシントンポストなど海外メディアによると、エチオピア政府軍のベルハヌ・ジュラ将軍は19日、テドロス事務局長がエチオピア軍と交戦中のティグレ人民解放戦線(TPLF)側の反乱軍を支援していると主張した。ジュラ将軍は「テドロス事務局長が周辺国にティグレ州反乱軍に武器などを支援するよう働きかけ、戦争に反対すべきだと促した」と述べた。


アフリカ出身者で初めてWHOの首長となったテドロス事務局長はエチオピア出身。ジュラ将軍は、TPLFがエチオピア連立政権だった当時にテドロス事務局長が保健相(2005-2012年)、外相(2012-16年)を務めたことにも言及した。しかし反乱軍支援に関連する具体的な証拠は提示しなかった。



テドロス事務局長はこうした疑惑を否定した。19日の声明で、「私がティグレ軍を支援するという報道があったが、これは事実でない」とし「私は平和の側にいる」と伝えた。


エチオピア軍とティグレ反乱軍は今月4日から交戦を繰り返している。9月にティグレ州が中央政府の反対にもかかわらず単独で地方選挙を強行し、双方の対立が激化した。その後、エチオピアのアビー首相がTPLFに対する軍事作戦を指示し、交戦に発展した。これまで双方で数百人が死亡し、3万人がエチオピアを離れて隣国スーダンに避難した。


TPLFは中央政府の与党と連立政権を構成していたが、2018年にアビー首相の執権後、連立政権から離脱した。TPLF側はアビー首相が自分たちを腐敗勢力にしたと反発してきた。TPLFはエチオピアの隣国エリトリアと長期にわたり戦争をした。アビー首相は執権後、エリトリアとの国境紛争を終息させた功労などで昨年ノーベル平和賞を受賞した。



アフリカ東部エチオピアのアビー首相は22日、北部ティグレ州で軍事衝突している政党ティグレ人民解放戦線(TPLF)に対し、72時間以内に降伏するよう呼びかけた。ロイター通信によると、政府軍は州都メケレに迫っているとしており、近く戦車部隊で包囲する方針という。


アビー首相は同日、フェイスブックとツイッターに相次いで声明文を投稿。TPLFを「テロリスト」「裏切り者」などと呼び、「彼らはメケレを人質に取り、多くの罪のない人々が暮らす故郷ではなく、戦場として扱っている」と批判した。メケレ市民に対し、政府軍に味方するよう呼びかける一方、民兵やTPLFの幹部に対しては「まだ遅くはない」「最後のチャンスだ」などと投降を呼びかけた。



一方、TPLF側は21日、フェイスブックに「ティグレ軍は政府軍に対して対抗し続ける」などと投稿しており、徹底抗戦の構えを見せてきた。また、政府系メディアは23日、メケレから約100キロ北西にあるアクスム空港がTPLFによって破壊されたと伝えた。TPLFはこれまでにもメケレに通じる主要な橋や道路などのインフラを破壊したとされる。


メケレには約50万人が暮らしており、政府軍は西部や南部に続き、北部の地区も制圧したと主張している。



国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、これまでに3万3千人以上の難民が隣国スーダンに避難しているという。

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米海軍艦、「ジョン・S・マケイン」がロシアの領海を侵犯

 ロシア国防省は、米海軍の駆逐艦「ジョン・S・マケイン」が24日に日本海でロシアの領海を侵犯し、ロシアの駆逐艦「アドミラル・ビノグラドフ」が警告を発したと発表した。米海軍艦は、警告を受けてこの海域から出たとしている。



一方、米海軍はロシア側の主張を否定し、「今回の作戦に関するロシアの発表は誤っている。ジョン・S・マケインは、いかなる国家の領海からも『駆逐』されていない」とする第7艦隊の声明を発表した。


声明ではさらに、「今回の作戦は、航行の自由と合法的な海洋使用の原則を支持する我々の貢献を反映している。米国はロシアが行ったような脅しに屈することも、不当な海洋主張を受け入れることも決してしない」と強調。「航行の自由作戦は、権利と自由、ロシアの過剰な海洋主張に異議を唱えることにより、国際法で認められた海洋の合法的な利用を支持するものだ」としている。



米駆逐艦が航行したピョートル大帝湾は日本海で最大の湾で、ウラジオストクに面し、ロシア海軍太平洋艦隊の拠点がある。


この海域に関するロシアの領海の主張は旧ソ連時代にさかのぼる。米国はロシアの主張を認めておらず、前回は2018年に旧ソ連の解体来初めて、この海域で航行の自由作戦を実施していた。



米国で次期大統領に選出されたバイデン前副大統領の就任を約2カ月後に控え、米ロの緊張は高まっている。トランプ大統領と良好な関係にあったロシアのプーチン大統領は、まだバイデン氏に祝意を伝えていない。


その前に、米軍は16日4月までに、ロシアの戦闘機が15日4月に地中海上空で「安全性に欠ける」インターセプト(進路妨害)を行ったと明らかにした。米海軍哨戒機のすぐ前方に入ったロシア機が高速で背面飛行を行い、米側の乗組員を危険にさらしたと非難している。


米海軍第6艦隊の声明によると、ロシアのSu35戦闘機は地中海上空の国際空域で、米軍のP8哨戒機に対し「安全性に欠ける」インターセプトを行った。



「安全性に欠ける」と判断した理由については、「Su35が任務機の約7.6メートル手前で高速で背面飛行を行い、操縦士と乗組員を危険にさらしたため」としている。


声明は「P8Aの乗組員から、接近後に後方乱気流に見舞われたとの報告があった。インターセプトは約42秒間にわたり続いた」と説明。「無責任な接近だった」とも指摘した。


米国は以前にも、地中海上空を含む空域でロシアが米哨戒機に同様のインターセプトを行ったと非難したことがあるが、近年こうした事案は減少傾向にある。



また米宇宙軍によると、ロシアは15日、対衛星ミサイルの発射実験を実施した。


宇宙軍のレイモンド司令官は声明で、ロシアの実験について「米国や同盟国の宇宙システムへの脅威が現実かつ深刻のものであり、増大していることを改めて示した」と述べた。

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米、領空開放条約から正式脱退…バイデン政権からすればいい迷惑だよskies

 米国務省は22日、締約国が相互に上空から査察できる「オープンスカイズ(領空開放)」条約から正式に脱退したと発表した。ロシアの条約違反を訴え、5月に条約離脱を締約国などに通知しており、条約に基づき6カ月が経過したため同日に発効した。今後は、米大統領選で当選を確実にしたバイデン前副大統領の対応が焦点となる。



露外務省は22日、「条約履行の障壁を作ってきたのは米国」として、米国側が査察を制限する措置を取ってきたと改めて非難する声明を発表。条約に加盟する欧州諸国に対し、欧州内の米軍施設への監視を制限しないことやロシアの領空内で得た情報を米国に渡さないことへの「固い保証」を求めた。


条約は締約国が事前通告によって非武装の偵察機を互いの領空に飛ばし、軍の施設を撮影することなどを可能としている。冷戦後の信頼醸成を図る目的で1992年に北大西洋条約機構(NATO)と旧ワルシャワ条約機構の加盟国で結ばれ、2002年に発効した。米露など34カ国が締約していた。



トランプ政権は5月、「ロシアが一部の地域で査察を制限し、条約の義務を無視している」などとして離脱を表明。NATOに加盟する欧州各国は条約の有用性を訴え、米国に再考を促していた。


米国でバイデン政権が発足すれば条約に再加盟する可能性もあり、ロシアは当面、欧米諸国の出方を見守るとみられる。ただ、ペスコフ露大統領報道官は22日、露メディアに「米国の脱退でこの条約が存続する意義はより一層低くなった」と指摘。露外務省も「すべての選択肢が開かれている」として、欧米の対応次第では脱退を検討する可能性も示唆した。



バイデン政権からすればいい迷惑だよ。脱退した上で再加盟となればアメリカはお願いする立場になってしまう。


NATOが再考を求めたようにこの条約は戦略兵器削減条約などでの上空査察に必要なもので、脱退すれば一部ではなく全部査察できなくなる。


万が一、トランプ政権だったとしてこういった条約の査察はどうするつもりなのか?まさかSTARTまで破棄するのか?そしたらロシアは核の大増産に入るだろう。



安全保障の根幹をなす核兵器に関して無責任極まりない。まさかこのような決定もゴルフしながら決めてたんじゃないだろうな?

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来るべき法廷闘争のシナリオを解説…トランプ“大逆転”はあり得るのかtrby

 アメリカ大統領選が世界中に知らしめたのは“赤と青”の2色によって、文字通り、真っ二つに分断された超大国の姿だった。



“当選確実”が報じられた民主党候補のジョー・バイデン氏(77)は、現地時間の11月7日夜、「分断ではなく、団結を目指す大統領になる」と“青”いネクタイ姿で高らかに勝利宣言を行った。しかし、“赤”をトレードマークとするドナルド・トランプ氏(74)は、いまだ自らの敗北を認めていない。


だが、軋轢を煽ることで圧倒的な人気を誇ってきたトランプ氏の命運が、いまや風前の灯火なのは事実。



とはいえ、4年前と同様に下馬評を覆す選挙戦を展開し、7千万票もの支持を獲得した現大統領に“再選”の望みが皆無かと問われれば、答えは“NO”である。大ドンデン返しのシナリオは残されている。


アメリカ政治に詳しい成蹊大学の西山隆行教授が、今後のスケジュールについて解説するには、


「まず12月8日までに全米各州で選挙人を確定。続いて、14日に選挙人による投票が行われ、来年1月6日に開票されます」



そこで選出された候補者が、晴れて“第46代アメリカ合衆国大統領”として、1月20日の就任式に臨むこととなる。


だが、選挙人を確定するための州ごとの選挙は混迷を極め、大接戦を繰り広げたジョージア州やノースカロライナ州では、3日の投票日から1週間が過ぎた11月10日時点でも勝敗が決していなかった。


現地特派員によれば、


「ジョージア州ではバイデン優位ながらトランプとの得票差はわずか0・2%。双方が約245万票を獲得したものの、その差は1600票ほどしかないと報じられました。州法では得票差が0・5%以下の場合、再集計の申し立てを認めており、州務長官も再集計する方針を示唆しています。他の激戦州を見渡しても、“バイデン勝利”とされたペンシルベニアやアリゾナは得票差が1%以下で、再集計となる可能性を否定できません」



最高裁への布石


すでにトランプ陣営は再集計に加え、郵便投票の有効性や不正投票を巡って提訴を乱発している。


大統領選に絡む法廷闘争で有名なのは、2000年のジョージ・W・ブッシュ氏とアル・ゴア氏のケース。


「ゴア側は接戦となった最後のフロリダ州で手作業による再集計を求め、州の最高裁もこれを認めました。ただ、ブッシュ陣営は差し止めを求めて連邦最高裁に上告。判事9人のうち、共和党寄りの保守派5人が“再集計は適切でない”と判断しました。まもなく、ゴアが“国民の結束と民主主義のために敗北を認める”と表明したことでノーサイドとなり、ブッシュ政権が誕生したわけです」(同)



トランプ陣営は、この時と同じく、勝敗の行方が連邦最高裁の手に委ねられることを見越して“布石”を打っていた。リベラル派判事の死去を受けて、トランプ氏が保守派のエイミー・バレット氏を最高裁判事に指名。民主党の反対を押し切り、大統領選直前の先月26日に彼女を正式に就任させた。これにより、


「最高裁判事は保守派6人、リベラル派3人となりました。現在の保守派判事には、テーマによってリベラル派に同調する人物がいますが、バレットの就任で、保守派は確実に過半数を確保できる計算です」(同)


連邦最高裁が2000年と同じくタイムリミットまでに再集計の見送りを言い渡すのか、否か。仮にトランプ陣営の主張を認めれば、訴訟や再集計作業によって混乱が長引き、12月8日までに選挙人が確定できない状況も起こりうる。その際に注目されるのが“合衆国憲法修正第12条”の存在だ。


先の西山氏が続ける。


「1月6日の時点で、いずれの候補も過半数の選挙人を獲得できなかった場合、合衆国憲法では、下院が大統領を選出すると定めています。しかも、この選出方法では50州に1票ずつ割り当てる。つまり、下院議員は選出された州ごとに投票する候補を1人選ぶわけです。下院全体の議員数は民主党の方が多いものの、現地の報道を見る限り、州単位では共和党優勢が26州にのぼります。可能性は低いと思いますが、下院で選出することになればトランプ大統領が有利になります」


下院での選出までこじれたのは過去2回だけで、直近でも1824年の大統領選まで遡る。それから2世紀ぶりの歴史的大混戦――。


大逆転の結末を迎えれば、トランプ劇場の面目躍如といったところだが……。

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イラン攻撃案でトランプ氏…核爆弾2個分の低濃縮ウラ

 米ニューヨーク・タイムズ(11月16日付)によると、トランプ米大統領は12日の側近らとの会合で、イランの核施設を攻撃する具体的選択肢を提示するよう要求したが、大規模な衝突に発展しかねないとして、止められていたことが分かった。大統領には、政権を去った後、バイデン次期大統領がイラン核合意に復帰することを阻止する狙いがあったのではないかと見られている。



核爆弾2個分の低濃縮ウラン


同紙によると、トランプ氏の大統領執務室でのこの会合に出席していたのは、ペンス副大統領、ポンペオ国務長官、ミラー国防長官代行、ミリー統合参謀本部議長らだ。大統領がイラン攻撃案の提示を要求した伏線はあった。国際原子力機関(IAEA)が前日、イランの低濃縮ウランの貯蔵量が核合意で定められた上限300キロの8倍、2.4トン以上に達したとの報告書を公表していたからだ。


専門家らによると、核爆弾1個を製造するのに必要な低濃縮ウラン量は約1000キロ。イランの貯蔵量は爆弾2個を製造できる量に相当する。イランは最高指導者ハメネイ師が核兵器を製造しないと明言しているが、仮に爆弾の製造を決意したとすれば、4~5カ月で完成させることができると見られている。イランは、核合意前には11トンを超える低濃縮ウランを保有していたが、合意によりそのほとんどをロシアに搬出した。



イランはトランプ政権が2018年、核合意を離脱して対イラン制裁を発動した後も合意を履行し続けていたが、経済悪化とコロナ禍で昨年から合意破りに方針転換、低濃縮ウランの生産を増やし始めた。イランの核開発の中心は中部ナタンズにある核施設で、攻撃案には同施設が含まれることになるのは確実だろう。


同紙によると、トランプ氏はIAEAの報告書を受けて安全保障問題担当の側近らとイラン問題を協議、イランに対して数週間以内にどんなオプションがあるのか、どう対応すればいいのかを尋ねた。ポンペオ国務長官やミリー議長がイラン本土を攻撃すれば、軍事衝突が拡大する懸念があると進言した。会合に精通した当局者らによると、会合が終わった時には、出席者らはイランに対するミサイル攻撃案は取り下げられたという感触を持ったという。



当局者らによると、トランプ大統領がなお、イランやイラン支援のイラクの民兵組織などに対する攻撃を考えている可能性はあるという。大統領がイラン攻撃をどの程度真剣に検討していたかは不明だが、大統領選挙での敗北で残りの任期が少ない上、イラクやアフガニスタンなどからの米軍撤退を進めている時に、本気で大規模な軍事介入をするつもりはないというのが一般的な見方だ。


イランの核施設や核開発計画を完全に破壊するためには単発的な短期攻撃では不可能であり、なによりもその後のイランの報復を覚悟しなければならない。ペルシャ湾岸の米軍基地や艦船、サウジアラビアなど米同盟国への弾道ミサイル攻撃もあり得よう。


ベイルートの情報筋は「落日のトランプ氏にそうしたガッツはない。攻撃しても選挙結果が変わるわけでもない。恐らく狙いは攻撃により反米機運を高め、バイデン次期政権にイラン核合意へ復帰させないようにすることだろう。要はバイデンへの嫌がらせに他なるまい」と指摘している。



イランの石油輸出の影に中国


低濃縮ウランの貯蔵量増大とともに注目されるのがイランの石油輸出の増大だ。米国はイランと取引する第3者にも制裁を科す方針を続行しているので、欧州や日本企業はイランからの石油購入を停止したままだ。このため石油輸出に大きく依存するイランの収入は極度に低下、新型コロナウイルスの流行が重なり、経済は悪化した。米制裁前には日量240万バレルあった石油輸出は4月には、7万バレルにまで落ち込んだ。


ところが、ワシントン・ポストによると、石油輸出は9月には日量120万バレルに回復、10月も同程度を確保したと見られている。この背景にはイランが制裁をかいくぐってさまざまな手を使って石油を売却していることが挙げられるという。その中には海上での積み替えやイラク産原油として輸出する方法などが含まれているようだ。



しかし、専門家の1人は同紙に対し、石油の行先は最終的に中国の精油所につながっていると指摘している。その多くはマレーシアや他のアジア諸国、トルコなどを経由し、直接イランから輸出されたものではないように工作が行われているようだ。また米国によるタンカーの拿捕にもかかわらず、南米ベネズエラ向けの輸出も続けられている。


米国人の犠牲がレッドライン


イランのロウハニ政権としては、中国との関係を強化しながら、トランプ大統領が退場するまで石油の密売でなんとかしのぎ、バイデン次期政権と前向きに交渉して、制裁解除に持っていきたいハラだろう。その意味で、トランプ大統領が単発的であってもイラン攻撃に踏み切れば、国内の反米感情が爆発し、米国との交渉の道が絶たれてこの戦略が破綻しかねない。



しかし、イラン側がトランプ氏に引き金を引かせる恐れもある。ロウハニ大統領は特に、イランの英雄だった革命防衛隊のソレイマニ司令官が米ドローン攻撃で殺害された1周年(来年1月2日)を前に、米国への報復論が高まり、防衛隊の急進派やイラクの民兵が米軍や米施設への攻撃を仕掛けるのではないかと懸念している。


トランプ政権は「米国人の犠牲がレッドライン」としており、イラクなどで米国人が殺害されるような事態が起きれば、イラン攻撃が一気に現実味を帯びるだろう。イランではこの夏から核施設や発電所などに対する放火事件が相次ぎ、国内に潜伏していた国際テロ組織アルカイダのナンバー2の暗殺報道もあったばかり。イスラエルの情報機関モサドの工作とされており、不穏な空気が漂っている。

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ロシア極東で「反プーチン」デモが続く異例の事態 putin

 ロシア極東の主要都市ハバロフスク(人口約60万人)で、約4カ月にわたって反プーチン政権のデモが続く異例の事態となっている。7月にハバロフスク地方のフルガル知事(50)が治安当局に逮捕され、首都モスクワで収監されたことが発端だ。地元住民は「自分たちの代表が中央の専横によって奪われた」とみなし、プーチン大統領の築いた中央集権体制への反発を噴出させた。



■「反プーチン」に転化


ハバロフスク市中心部の地方政府庁舎前。デモ行進は毎週土曜日、ここを起点に行われてきた。独立系メディアの推計によると、知事逮捕直後の7月11日には2万5千人、18日には4万5千人が参加した。規模は縮小しつつも、抗議デモは今も続く。


「フルガルを返せ!」「モスクワはわれわれを放っておけ」。当初はこうした反中央のスローガンが目立ったが、デモが明白な「反プーチン」に転化するのに時間はかからなかった。



記者が現地を訪れた10月10日、デモ参加者らは「プーチンは人民に巣くうがんだ」「欧州は(対露)制裁を発動せよ」といったプラカードを掲げていた。反体制派指導者のナワリヌイ氏が毒殺未遂に遭った事件を意識してか「プーチンは全ての生ける者を殺す」とのスローガンまでみられた。


老若男女の約1千人が「ロシアに自由を!」などとシュプレヒコールを上げて市中心部を練り歩く。通りがかりの多数の乗用車がクラクションを鳴らして応援の意思表示をし、道路に面したアパートの窓からは多くの人が「頑張れ!」と手を振った。地元住民の支持こそが長期デモの原動力となっている。


「国内のテレビや(政権派の)新聞は、当局を怖がってデモを報じない。日本や世界にこの問題を伝えてほしい」。行進に参加した輸入業のステパンさん(57)は、記者にこう訴えた。



この日は拘束劇にも遭遇した。デモ隊が庁舎前の広場に戻ると、重装備の機動隊が参加者らに襲いかかり、地面に引き倒すなどして25人を連行した。拘束される女性の悲鳴に「警察は国民の敵だ」「恥を知れ」といった怒号が重なり、一帯は騒然となった。


もっとも、デモ参加者の本格的な拘束はこの日だけだった。政権側はデモにどう対処すべきか分からずに戸惑い、自然にデモの勢いが衰えるのを待っているように見える。


■くすぶる中央への反発


露極東にはもともとモスクワに対する冷ややかな感情や反発がくすぶってきた。1991年のソ連崩壊によってそれまで存在していた計画経済の連関が崩れ、極東が窮地に陥った経験が大きい。中央からの金や物の流れが途絶え、当時の極東はいわば「見捨てられた存在」となった。



極東各地の人々は生き延びるために近隣の地域や国に目を向けた。ウラジオストクは日本からの中古車輸入に、ハバロフスクやブラゴベシチェンスクは中国との交易に活路を見いだした。極東住民には、独自の「地域主義」により、90年代の危機をモスクワに頼ることなく切り抜けたという自負がある。


90年代は民主化が花開いた時期でもあり、住民らは地元の知事を直接選挙で選んだ。「当時の知事は完全に住民側を向いていたわけではないが、少なくとも地元は大切にした。住民にも自分こそが地域の主体だという意識があった」。ハバロフスクにある太平洋国立大のブリャヘル哲学・文化学部主任教授はこう語る。


2000年にプーチン氏が大統領に就いてからは状況が変わった。プーチン氏は04年に知事の直接選挙を廃止して任命制とするなど、中央集権体制の構築に邁進(まいしん)した。



モスクワでの大規模な反政権デモを受けて12年、知事選は反体制派を懐柔する目的で表面的に復活された。だが、出馬には制約が多く、大統領には知事の解任権があるなど、事実上の任命制に近い管理選挙が続いている。ロシアの選挙では、報道での露出度が高く、公務員や公営企業の従業員を投票に動員できる現職が圧倒的に有利だ。


■「民意無視」に憤り


こうした状況で18年、フルガル氏が政権与党「統一ロシア」の現職を破って知事選に当選する番狂わせが起きた。同じ時期、ウラジオストクを擁する沿海地方の知事選でも与党候補が大苦戦しており、政権の焦りは強かったとみられる。政権がこの年、財政難から年金支給年齢の引き上げを発表したことや、地域経済の低迷が逆風となった。


フルガル氏は元医師で、00年前後に極東での木材やくず鉄分野のビジネスで成功した。体制内野党の右派「自民党」の地方議員や下院議員を経て知事選に当選した。知事就任後は自身の給与を大幅にカットし、公費の無駄遣いに大胆に切り込む一方で貧困家庭の支援などを打ち出した。大衆迎合的な側面が指摘されつつも、地元で人気を博していたのは疑いない。



デモに参加した美容室経営のマディナさん(47)は「フルガルは私たちが選んだ知事だ。モスクワは民意を無視している」と憤った。前出のブリャヘル教授も「彼の逮捕が激しい反発を呼ぶのは必然だった」とみている。


フルガル氏は04~05年、ビジネス上の競合相手らに対する嘱託殺人を首謀した疑いをかけられている。当時の極東でのビジネスには概して企業乗っ取りなどの粗暴な不法行為が付き物で、同氏が実際に事件に関与している可能性は排除されない。


しかし、15年も前の事件を今になって蒸し返し、現職知事を逮捕するという治安機関の行動は、クレムリン(露大統領府)の承認なくしてはあり得ない。プーチン氏の名代として極東連邦管区の大統領全権代表を兼務するトルトネフ副首相が、フルガル氏との確執を深めていたとの見方も強い。



プーチン氏は逮捕を受けてフルガル氏を解任し、同じ自民党所属でクレムリンに近いデクチャリョフ氏を知事代行に任命した。だが、極東に全く縁のない同氏が任命されたことは、逆に地元住民の怒りを増幅させる結果となった。


モスクワなど西部の大都市部ではかねて反政権機運が強いとされ、間欠的に大規模デモが起きてきた。ハバロフスクでの前代未聞の抗議行動は、遠隔地にも火種がくすぶる現実をプーチン政権に突き付けた。


■情報封鎖にSNSで対抗


プーチン政権が最も恐れているのは、ハバロフスクのようなデモが他地域に波及し、広域で同時多発的に反政権運動が起きる事態だ。政権の統制下にある主要テレビ局や親政権の新聞社は当然ながら、ハバロフスクのデモについて黙殺を続ける。地元住民らは動画サイトのユーチューブやSNSを通じて情報を発信し、政権の情報封鎖に対抗している。


自営業のジルノフさん(60)は7月11日のデモ初日以降、デモの様子や参加者へのインタビューを撮影し、ユーチューブやフェイスブックなどに投稿してきた。投稿した動画は1千件超、ユーチューブチャンネルの登録者は1万8千人を超える。


治安当局ににらまれ、身柄を拘束されるようなリスクもあるが、ジルノフさんは「私はここで起きていることを伝えたいだけだ。何も恐れていない」と力を込める。その動画には、「あなたは真のジャーナリストだ」「ハバロフスク頑張れ!」といった激励のコメントが多数並ぶ。


折しも、ロシアの西隣に位置するベラルーシでは、大統領選の不正に抗議する大規模な抗議行動が約3カ月にわたって続き、独裁者のルカシェンコ大統領が窮地にある。ハバロフスクのデモでは、ベラルーシの抗議行動を支持するスローガンが聞かれることも多い。一時は小規模ながら、極東の他都市でハバロフスクに連帯を示すデモも行われた。政権は神経質にならざるを得ない。


独立系世論調査機関「レバダ・センター」が8月後半に露全土で行った調査によると、ハバロフスクのデモを肯定的にとらえている人が47%で、否定的と答えた人の3倍にのぼった。


ロシア極東 ロシアが17世紀以降の植民によって開拓した東方地域。極東連邦管区には、2018年に編入されたブリヤート共和国とザバイカル地方を含め、11の連邦構成体がある。面積ではロシアの約4割を占めるが、人口は約818万人にとどまる。東端のカムチャツカ地方では首都モスクワとの時差が9時間もある。極東地域の開発に手を焼くロシアは12年に極東発展省を新設し、19年には極東・北極発展省へと改組した。

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なぜプーチンはバイデン勝利に沈黙を守っているのかputin

 各国のリーダーたちが続々とバイデン勝利に対して声明を出すなか、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はいまだアメリカ大統領選に関して沈黙を貫いている。もちろん、勝利したバイデン次期大統領への祝福もまだだ。



メキシコのロペス・オブラドール大統領は、勝者への祝辞の前に「司法の判決を待つ」と発言。ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、今回の大統領選を「まさに恥であり、民主主義への侮辱に値する」と批判した。


一方、沈黙を守っている国家元首たちもいる。中国の習近平国家主席、ブラジル大統領のジャイール・ボルソナロ、そしてロシアのウラジーミル・プーチン大統領だ。


ロシア紙「プラウダ」のオンライン版は、プーチンと習近平に「メキシコ大統領ほどの大胆さはなかった」としつつ、「この静けさは、どちらに転んでも良いことはないという板挟みの状況から来ているようだ」と伝えている。



「バイデンは、リベラルな価値観を盾に他国に口出しするだろう。また、彼は中国への圧力と制裁、孤立化政策を再開すると宣言しており、ロシアをアメリカ最大の脅威と見なしている」と加える。


プーチンの沈黙については、「バイデンを祝福したとしても、米露関係に何の影響も及ぼさないとわかっているからだ」と説明している。


トランプ政権下では起こらなかった、価値観の対立

トップの声明がないなか、ロシア紙「コメルサント」は政府高官のコメントを掲載した。公には誰が米大統領になろうとも協力していくと語るが、非公式には懸念を示しているという。「新政権においては、トランプ政権下では起こらなかったイデオロギーや価値観の違いによる対立が強まるだろう」と語る幹部もいる。



さらに同紙は、ロシア連邦院国際問題委員長コンスタンティン・コサチョフがフェイスブックで公に意見を表明したと報じている。


「民主主義の勝利により、世界全体の非保守勢力が復讐を果たそうとするだろう。これは、ヨーロッパでロシア恐怖症が増えることを意味すると同時に、ウクライナ東部紛争でより多くの死者が出ること、そして世界の他の地域でさらなる制裁が科されることを意味する」


こう警告するものの、十字軍やクリントン政権下のような強硬な価値観の押し付けはないだろうと続けている。



ロシアの週刊誌「エキスパート」は、バイデン大統領就任後の見通しは暗いと伝える。


「ロシア政権幹部がアメリカで新たな大統領が就任することによる緊張の緩和や、より良い連携を期待しているとは考えられない。ロシアは“西洋の一族”ではなく、かといって中国の手の内に落ちるわけにもいかない。クリミアやウクライナのことは許されない。制裁の強化はないにしても維持されるという難しい状況だ」


核兵器削減条約と独露ガスパイプラインの今後は


しかし、米露間の新戦略兵器削減条約(新START)が延長され、ロシア~ドイツ間に建設中のガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の工事を完了させられる可能性はあるという。気候変動に対する経済的努力とG7への参加を求められるだろうが、アメリカと手を握り合い、世界の問題を語り合う未来も開けるだろうと同誌は予測する。



「親切な笑顔と民主化への授業の裏には、ロシアを含め、差し迫った変革を視野に入れた旧ソ連諸国への経済援助の増加がある。ロシアの親欧米派との繋がりが再び確立され、アメリカ大使館で温かな会談が再び行われることになるだろう。


現在ドイツにいる反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイが戻ってくるのか、それが問題だ」


また、日刊紙「イズベスチヤ」は、バイデンとウクライナの結びつきの重要性を指摘し、「オバマ政権下でバイデンがウクライナの担当だったことを忘れてはならない。トランプは完全にウクライナを無視したが、バイデンはそうはしないだろう」と述べている。


また、ロシアのメディアの多くはバイデンの年齢を強調する。なぜなら、それが彼らに旧ソ連最後の最高指導者、コンスタンティン・チェルネンコを思い出させるからだ。タブロイド紙「モスコフスキー・コムソモーレッツ」はこう皮肉る。


「親愛なるアメリカ国民へ。君たちがトランプに疲れてしまったことは理解できる。でも、なぜこの老いぼれよりも優れた人を見つけられなかったの?」


コンスタンティン・チェルネンコは、指導者の座に就いてからわずか11ヵ月で亡くなった。旧ソ連の年寄りたちは73歳のチェルネンコを選んだが、アメリカは77歳のバイデンを選んだのだと揶揄している。

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ウィスコンシン州でバイデンが12万票増えた謎

 昨日日本のツイッターで大騒ぎになっていたウィスコンシン州の件について、ウィスコンシン州の選挙委員会自身が否定することになった。当日の有権者登録が可能らしく、それにより事前に把握していた数よりも有権者が増えることはよくあるらしい。トランプ寄りのFOXも報道していることから事件性はないものと思われる。



アメリカ大統領選では、激戦州の一つであるウィスコンシン州でバイデン氏の勝利が確実な情勢だ。開票終盤には、バイデン氏の得票が急増したことで「投票率が100%を超えた」などとする情報が日本のTwitterでも拡散された。


しかし、ウィスコンシン州の選挙管理委員会のほか、保守系のFOXニュースなどが相次いでこの疑惑を否定している。


怪しいので州兵が参加?保守系ニュースも否定



拡散されたのは、ウィスコンシン州の開票作業で『突如謎の12万票が追加された』『投票率が100%を超えた(200%とも)』『怪しいので州兵が集計に参加』などといったものだ。ツイッターの情報をもとに、まとめブログが掲載したことで広まったとみられる。


この情報は誤っている。ウィスコンシン州選管は公式Twitterで「ウィスコンシン州は当日の有権者登録が可能です。いくつかの地域が非公式で報告している有権者数は正確ではありません」と指摘。「登録有権者よりも多くの票が投じられることはありません」とした。



保守系ニュースのFOXも「登録有権者数よりも多くの票が投じられたという人がいるが真実ではない。この州は360万人の有権者がいて、330万の投票があった。ウィスコンシンは当日の有権者登録も認めている」と説明している。


また、『突如』バイデン氏の得票が増えたことに関しても次のように解説している。


「ミルウォーキーとケノーシャでは夜を徹して開票作業が進められた。この2つは中央で不在者投票分をカウントする方式をとっていて、全てが集計されるまで得票にカウントされなかった。ミルウォーキーの作業が終わったのは(現地時間の)午前3時ごろだ」



このうち、バイデン氏が強いとされるミルウォーキーでは16万9000を超える不在者投票があったという。


「怪しいので州兵が介入」も不正確。FOXは州兵が開票作業に加わったことを伝えているが、不在者投票分の一部に誤植があり、作業が遅れる見通しのため、補助に入っているとのことだ。記事には「怪しい」という記述はなく、後から主観的に付け加えられたものだ。


また、これらのデマを投稿したツイートの一つには、ツイッターから「誤解を招いている可能性があります」とラベルが貼られている。


トランプ陣営はウィスコンシン州の結果について、票の数え直しを求めている。

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トランプ氏がもし大統領選に敗北したら、どんな事態が待っているかtrump

 ペンシルバニア、ウィスコンシン、ミシガンなどの激戦州で開票が始まると赤色がシンボルカラーの共和党のトランプ大統領がまず優勢となるが、郵便投票の集計が進むにつれてそのリードは蜃気楼のように消えてシンボルカラーが青色の民主党バイデン候補が勝利するというシナリオである。



それとは逆に、投票日前から郵便票や期日前投票の集計が行なわれている州ではバイデンが序盤先行する「ブルーミラージュ」現象も起きることになるだろう。


問題は赤青どちらの蜃気楼が最後まで消えずに残るのかだが、その主戦場は大統領選で常に最も注目されるフロリダだ。全米支持率で劣勢のトランプにとって絶対に勝たなければならない州である。


だからトランプは昨年秋に税金逃れも兼ねて住民登録をニューヨークからフロリダ州に移している。



フロリダは所得税、相続税ゼロ。金融犯罪捜査も手ぬるい租税回避地。同州最大の都市マイアミのすぐ北側にはトランプの名前を冠したホテルやマンションがずらりと建ち並び、日米首脳会談の開催地として日本でも有名になったトランプご自慢の別荘「マール・アラーゴ」もフロリダ州パームビーチにある。


● フロリダ州司法長官に トランプが多額の寄付


早い時期からトランプはフロリダ州に目をつけ、人脈開拓にも熱心だった。例えば、トランプが創設した不動産スクール「トランプ大学」の詐欺問題を巡り、フロリダ州司法長官パム・ボンディに多額の寄付をしていたことが明らかになっている。さらには大統領になって自らに対する弾劾裁判の可能性が浮上すると、すぐさま同氏を特別顧問に雇い入れた。このあたりがトランプのずる賢いところだ。



フロリダは選挙開票の不手際でも知られている州だ。2000年のブッシュ対ゴア米大統領選では、再集計を巡って泥沼の法廷闘争の末ようやく連邦最高裁判断でブッシュの勝利が確定した。これも再選を狙うトランプには好都合だ。


民主党支持者が圧倒的に多いといわれる郵便投票を「選挙詐欺だ」と言って有権者に疑問を抱かせ、2000年の法廷闘争の再現を狙っているのだろう。現在は9人の最高裁判事のうち6人がトランプに有利な保守派である。


開票半ばで一方的に勝利宣言をして郵便投票の開票を打ち切るという暴挙に出る可能性もある。マフィアとの繋がりもささやかれる弁護士を使って訴訟を連発して相手に圧力をかけるのは不動産業時代からのトランプの得意技だからだ。



だが、今年のフロリダ州当局はこれまでとは違う。新型コロナウイルス蔓延で郵便投票や期日前投票が記録的に急増していることを受けて、最新の投票計数機を設置し、票の読み込みがすでに始まっている。投票の締め切りである11月3日午後7時とほぼ同時に集計結果を出せる見込みだという。


「フロリダ州でバイデン氏が勝てば、それで(大統領選の)決着がつく。かなり早い段階でわかると思う」


ブルームバーグ通信社の取材にフロリダ国際大学のキャサリン・デパログールド政治学教授はそう答えている。



確かに状況はトランプにとって悪化の一途だ。「こんなものすぐに消える」と豪語していたコロナウイルス大流行はさらに深刻化して自らも感染、入院。頼みの綱の好調だった経済も暗転。株価は急落。高齢者、若者、女性、黒人、ヒスパニックの支持も期待できない。大統領選と同時に行なわれる議会選挙で落選の憂き目に遭いたくない共和党議員たちも次々と反トランプに転向し始めた。


● トランプが敗北を認め 静かに去る可能性も


その一方で、トランプの敗北を断固として拒否する極右勢力が全米各地で暴動を起こすのではという不安が広がっている。すでにミリシアと呼ばれる極右グループによるミシガン州知事拉致殺害未遂やバイデン暗殺をほのめかした青年が逮捕されている。その為か、すでに3億丁の銃器が溢れている全米で、護身用に初めて銃を購入する女性やマイノリティが急増しているという。



トランプがなりふり構わず再選を目指す理由は自己顕示欲を満たすためだけではない。来年1月20日正午に任期が終わり大統領特権を失った瞬間から司法妨害、選挙資金違反、詐欺など過去の悪行で監獄送りになる可能性があるからだ。


それを避けるための手段も考えているはずだ。


ひとつは、大統領が自らを恩赦する。前代未聞だが米国憲法の恩赦規定では明確に禁じられていない。あるいは1月20日の新大統領就任式前に突如辞任して、大統領代行となった腹心ペンス副大統領がトランプに恩赦を与えることも法的には可能だろう。まあ世間からは非難の嵐にさらされるだろうが。


元ホワイトハウス報道官で政治アナリストのジョー・ロックハートによれば、もっと予想外の展開が考えられるという。それはトランプが敗北を認めて静かに去ることだ。



えっ、そんなことあり得ないだろうと思われるかもしれない。だが冷静に考えてみればトランプは彼の著書『The Art of the Deal(トランプ自伝)』のタイトルが示すように狡猾なディール(取引)で成り上がってきた男だ。どんな手段を使っても常に自分の利益とイメージを最優先しながら生き延びる生存本能を身につけている。


米メディアの報道によれば、今でもおよそ4億ドル(約420億円)の負債を抱えていて返済期限が迫っているという。経営が厳しいホテルやゴルフコースは簡単に現金化できない。ではどうするかというと、極右勢力をなだめて平和的に政権移行をする見返りに当局に悪行を見逃してもらうという裏取引をするのだ。



大借金を返済するには新たにビジネスでもうけるしかない。権力の座から引きずり下ろされた悪者イメージを最小限にとどめて得意のメディアビジネスで利益を上げられれば、債権者や投資家そしてトランプの悪政から逃れられる国民にとっても悪い話ではあるまい。


もちろん投票日前の最後の数日で何が起きるか誰にも想像できない。だが私が信頼するビッグデータを駆使した英国エコノミスト誌の分析通りなら、赤い蜃気楼が消滅するだけでなく、バイデン勝利と民主党の上下両院過半数獲得の「トリプルブルー」が実現するのではないだろうか。

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